2010/09/10

芸術(?)の秋近し


今年の夏は酷暑だったが、ここのところようやく秋らしい風も感じられる朝夕が増えてきた。日が高く上ってしまえば、まだ相変わらず暑いが、朝自転車で坂を下る時は寒いこともあり、有り難いことに夜の寝苦しさもなくなった。無論、こうでなければならない。


気候的にはまだ学問、芸術の秋と言うには少し早いが、今年もオペラ協会から招待券をもらえることになった。創作オペラ『鳴砂』で、19、20と2日ある公演の内の2日目、14時からのマチネーである。敬老の日で彼岸の入りになるが、墓参りは午前中内に先に済ますか、後の月命日に合わせてしまうかどちらかにするとしよう。


漁村を舞台にした民話的要素の強い、幻想的、ダイナミックな作らしいのだが、作曲家も台本作家も寡聞にして知らない。海、海の男たち、異界からの侵入者たる謎の女、その出現による破滅とカタストローフに至る筋、道具立ては逆オランダ人を思わせる。問題は曲だが、さてどんなものであろうか。些かの興味はわく。今回はピットに入るオケが仙台フィルではなく東北大学の学生オケである。それがどの程度の、どんな違いになるのかは気になるところだ。昨年の『魔笛』では仙台フィルのぬるい感じが不満であった。いずれにせよ3月にストックホルムフィルを聴いて以来、実演を聴くのも半年ぶりだから、たとえ音の悪い県民会館であれ、日頃オーディオ慣れしてしまった耳と感覚のためにはそれだけでも意味はあるわけではある。

純粋に音の観点から言えば東北大の萩ホールが望ましいが、残念ながら実際にそこが演奏会場として使われることは少ない。音の悪い県民会館やイズミティ21が使われるのには地方文化事業政策上、商業上の事情もあるのだろう。無論萩ホールは劇場ではないし、本格コンサートホールとして舞台上の制限は普通の多目的ホールより多かろうから設備上オペラ公演が可能なのかも疑問なのだが、正直なところ県民会館も、たまに外来オペラが無理にやることもあるイズミティ21も似たようなものではあろう。諸々の制約を越えて萩ホールがもっと使われるようになればいいのだが。

何はともあれ、20日を楽しみにして待つとしよう。気持ちの良い秋の日であることを願いながら。

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