2009/02/21

自転車通勤の新たな展開

通勤については、これまでも片道10キロ程度の道のりをどう往って復るか、あれこれと試みてきたのである。具体的に言えば、電車(地下鉄)通勤、自転車通勤、ジョギング通勤、ウォーキング通勤とその組み合わせで、どれにもそれなりの一長一短があるのだが、今回は思い立って自転車通勤の自転車を新しくしてみた。

電車(地下鉄)通勤は楽で速いが、その分、体がなまる。およそコーヒー1杯分になる運賃も、(コーヒーと地下鉄ならコーヒーに軍配が上がるので)気になってくる。

自転車通勤はいい時はとてもいい。帰り道でも小回りが利くし、適度な運動にもなる。所用時間が30分程度というのも悪くないが、いかんせん季節や天候に大きく左右される。仙台の冬は快適とはほど遠いことも少なくない。

ジョギング通勤は大いに体が鍛えられる。50分前後で走っているのだが、毎度となるとちとつらい。一々着替えも必要である。

ウォーキング通勤は中年男にとってバランスのとれた運動である。道々季節の移ろいを感じ、適当な考えごとをしながら歩けるが、1時間半はかかってしまう。寝坊は許されない。

ここ4年ほど、亡父も書道で通う時には使っていたカゴ付きの買い物用自転車(所謂”ママチャリ”というやつだが)を受け継いで愛用してきたのであるが、足かけ10数年に及ぶ使用(と、ここ4年間の酷使)を経て、足まわりやブレーキなどに少々歪みやガタが生じていた。(後輪の回転軸のぶれ、そうも見えなかったがスポークも3本折れていたそうだ。)そこで近くの自転車屋で修理と整備を頼んで、メンテナンス後は予備役に回すこととした。そして、それと同時に私専用の1台を新しく求めることにしたのである。


  1. 主に通勤用で基本的に街乗りであること
  2. 決して良好ではない通勤路の車道や歩道の道路状況
  3. 悪路走破性よりはスピード重視
  4. ドロップ・ハンドルはもう30年近く握っていないこと
  5. 70キロの体重
  6. 潤沢とは言われぬ資金

といった諸条件から出てきたのは、クロス・バイクという最も無難な選択肢であった。クロス・バイクという範疇があることすら知らなかったが、これはロード・バイクとマウンテン・バイクの中間、折衷のジャンルらしく、いかにも私には適当なものであった。

というわけで、修理を頼んだ同じ店で購入したのがGiantのSeek R2というクロス・バイクである。タイヤは32ミリと細すぎず、これまでとさほど変わらぬ感じで心細さもない。今ではそれが当たり前らしいが、変速機のレバーは最早フレームにはなく、握ったグリップの手元にあって、感覚に頼らなくても、まるでスイッチのように手軽、確実にシフト・チェンジできるようになっていた。

何故それにしたのかと言えば、正直あまり見識あってのことではない。その店の在庫車中から(ややロードよりのもの、ややMTBよりのもの、ややコンフォートに振られたもの、ややアグレッシヴな方向に振ったもの、やや高いもの、やや安いものなどから)取捨選択したのである。Webで色々見た限りでは、本格ロード・バイクやマウンテン・バイクならいざ知らず、スポーツ・バイクの戸口に行儀よく立っているクロス・バイク同士にブランド・イメージ以上の有意な差があるようには思われなかった。クロス・バイクはクラシックで言えば「名曲集」みたいなものであろう。台湾の大メーカーGiantはN響といったところか。

さて、乗車前の点検や取り扱い上の注意点など基本的な心得は店で説明を受けたものの、しかし実際に乗ってみると、このSeek R2というクロス・バイクも、ただ乗っていればいいというものではなかった。尻が痛くて仕方がないのである。あの細くて固いサドルに、これまでの感覚で座っていたのでは、当然痛くなる道理である。どうやら乗り方に原因があるようで、これは何とかするべきであった。今後、毎度毎度30分尻が痛く、降りても尻付近がしびれているというのは避けるべきであった。

というわけで、試し乗りの帰り道、途中で買ったバーニャのカンパーニュ半ヶと80%のパン・ド・セーグル1本を背負ったまま、やおら本屋に立ち寄って、入門書の類を数冊立ち読みし、その中から1冊購入して、すぐにできそうな姿勢を真似てみた。

骨盤を立てて腹をへこませ、上体のみを猫背に湾曲させるようにして、さて、そうして改めて乗ってみると、

あ〜ら不思議、途端に楽になった。骨盤が寝て、腰がただ前方に倒れていれば、体重はサドル上尿道付近に集中し、おまけに上体をただ預けられた手も負担が大きい。言われてみれば、もっともなことである。だが、言われなければ、しばらく気がつかずにいたことだろう。何事であれ、先達とはありがたいものである。

"Radfahrer auf verschneiter Landstrasse" (Ernst Havenstein 1935)

以来、まずは快適に走っている。ただ、その体勢だと、常に一生懸命こがなければならない気がしてくるのである。通勤時間は大幅に短縮したが、当初想っていた自転車通勤とは、やや趣が違ってきたようである。


s. 自転車通勤とGiant Seek R2:初めてのパンクとバーエンドの取り付けなど (2009/05/23)
自転車通勤とGiant Seek R2のその後 (2009/04/08)

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